聖戦で孤児となったミリアは当時のアサシン組織の長「ザトー=ONE」に拾われ、暗殺者の一員となった。やがてミリアは「禁呪」によって髪の毛を操る能力を手にし、ヴェノムと共にザトーに次ぐ実力と称されるようになった。いつしかミリアとザトーの関係は恩人、師弟を経て恋仲となったが、暗殺者としての人生に疑問を抱いた彼女は、全ての関係を断ち切って組織を抜け出す意思を固めた。
ミリアは逃亡生活の最中にもザトーに対する想いの整理がつかず、何かの答えを見つけようとしていた。しかしザトーは、その身に施した影を操る「禁呪」の副作用によって自我を失い、絶命してしまう。
頭領を失ったアサシン組織から彼女が狙われることは無くなったが、彼女の心に決着が得られることはなかった。

ある日、かつての同志であり、現アサシン組織の頭領であるヴェノムから奇妙な情報が舞い込んだ。
「ザトー様が生きている。いや、生き返ったのかもしれない」
ヴェノムはザトーの生きた身柄を引き取るために、ある仕事を引き受けているが、依頼主の立場や作戦の内容、ザトー再生の確証といった全てに不自然な気配を感じている。クライアントとの関係上、派手に詮索することができないヴェノムは、事の真偽を確かめる仕事を、ミリアに依頼したのだった。

無口で冷ややかな性格。しかし組織を抜けて以来、以前のように損得の価値観のみで行動する事はなくなった。地に足ついた人々の暮らしの中で、ミリアは人間らしい感情を少なからず獲得している。口や行動で表すには至らないが、察しや思いやりといった感性を自覚するほどである。
それ故に、闇の世界で生きてきた彼女は今も冷ややかに振舞い、自分の身に及ぶ危険を周囲に広げまいとしている。一方で、対処に困る事象の前では、少女のような表情を見せることもある。